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ニュース 2023年

<トップメッセージ> 国連グローバル・コンパクト事務局長 兼 CEOより

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◇サンダ・オジャンボ 事務局長 兼 CEOよりメッセージ◇

国連グローバル・コンパクト 会員の皆様

2023年を迎えた現在、私たちの生きる世界が脆弱化し、分裂していることに疑いの余地はありません。ウクライナ戦争、エネルギー危機、食糧危機、気候変動、異常気象、民主主義への脅威、パンデミックの継続に加え、インフレや通貨の不安定、景気後退の恐れといった数多くの逆風が吹き荒れ、持続可能な世界を目指す私たちの取り組みを阻んでいます。

これらの問題は、私たちが力を合わせて対処していくべきグローバルな課題です。2023年は、この困難な潮流が進歩の動きへと立ち戻っていくよう、共に努力していきましょう。解決策は常に手の届くところにあります。私たちの目の前には、より持続可能でインクルーシブな世界の実現に役立つ重要な機会が、多数存在しています。

世界が数々の深刻な危機に直面している今、国連グローバル・コンパクトと62のローカル・ネットワークは、サステナブルな世界の実現に向け、測定可能な、説明責任を果たす行動を企業が取れるよう支援しています。これは正しい行いであり、ビジネスにとっても有益です。

今年は特に各社のCEOに呼びかけ、これまで以上に大胆かつ野心的に企業をリードして頂けるよう、強く求めたいと思います。実際、既に会員企業のCEOの方々の多くが、数々の重要な貢献をして下さっています。私たちは困難な時代におけるこのような取り組みを認め、高く評価すべきです。しかしまた、CEOに限らず全員に、さらなる努力が求められています。企業は、原則に基づく持続可能なアプローチを取ることによって、インクルージョンと平等を保証しつつ、長期的な事業実績を改善し、競争力を高めることできます。

今年9月の国連SDGサミット2023は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中間点での開催となり、現状を把握し、今後進むべき方向を判断します。これは重要な節目であり、企業が他のステークホルダーと共に、野心的かつ信頼性の高いアクションと目標を表明する重要な機会となるでしょう。

私たちは、SDGsの達成に向けた取り組みを再び活性化する真のチャンスを迎えています。今こそリーダーシップを発揮する時です。民間セクターは、政府や他のステークホルダーと共に、大胆に行動しなければなりません。会員の皆様にも、国連グローバル・コンパクト10原則のすべてにおいて正のインパクトを発揮していくことを期待します。今年、特に企業に取り組んで頂きたい重点分野は、以下の5つです。

1. 生活賃金
2. 気候変動
3. ジェンダー平等
4. ウォーター・スチュワードシップ
5. サステナブル・ファイナンス

これら5分野において、民間セクターは、グローバル目標全体の進捗を加速させるために最大限のインパクトを今すぐ与えられるはずです。また、これらの分野に取り組むことで、包摂性、より良いビジネス、資本動員を通じた事業機会の促進も可能となります。

気候変動は依然として、地球にとって存亡の危機であり、世界経済を脅かし、SDGsに向けた進捗を阻害しています。アントニオ・グテーレス国連事務総長が、9月に気候野心サミットを開催すると発表したのもそのためであり、さらに尽力し、信頼性の高い確かな気候変動対策を新たに実現するよう、すべてのリーダーに呼びかけています。これには、科学的根拠に基づく目標設定、およびパリ協定の目標達成に向けた協力を企業に求める呼びかけも含まれます。こうした取り組みは、パリ協定の目標を達成するためのアクションを求める若者や将来世代のためにも必要であることを、忘れてはなりません。

排出量正味ゼロ・コミットメントに関するハイレベル専門家グループがまとめた昨年の報告書Integrity Mattersでは、信頼性が高く説明責任を果たすネットゼロ宣言を行うための指針を提供しています。民間セクターやその他のステークホルダーが、このような提言に基づいて行動を起こすことは、気候野心サミットや今年11月のCOP28に向けて取るべき数々の方策にとって、死活的に重要です。強力かつ影響力の大きい民間セクターのリーダーの皆様には、野心的、革新的、そして他者とのパートナーシップに積極的になって頂く必要があります。この一年間、国連グローバル・コンパクトの会員の皆様、および民間セクター全体が、取り組みを一層強化することが肝要となります。

国連グローバル・コンパクトは、善を推進する力となる、責任あるビジネスのグローバルな集合体を築こうとしています。2022年には、調査対象となった会員企業の90パーセントが、国連グローバル・コンパクトは企業の責任に関する方針と慣行の推進に役立っていると回答しました。昨年、グローバル・コンパクトの活動は69カ国から96カ国へと拡大し、会員数も企業が17,000社、企業以外が3,000を超え、ほぼすべての業種および規模の組織が参画しています。

我々は今月初め、128カ国、18業種の2,600名以上のCEOから得たインサイトに基づく第12回CEO調査を公表しました。これによれば、現在、各社CEOは極めて困難な世界情勢に直面しており、大多数(93%)が自社事業は10以上の課題を同時に抱えていると回答したほか、大半のCEO(87%)が、現在のレベルの混乱が続けばSDGsの達成が制限されると警告しています。しかし、希望はまだ残されています。調査対象のCEOのほぼ全員(98%)が、サステナビリティは自らの職務の中核として位置付けられると回答しました。国連グローバル・コンパクト10原則やSDGsに事業活動全体を通じて取り組むことで、信頼性とブランド価値を高めることができると、ますます強く認識されるようになっています。

これが一つの理由となり、グローバル・コンパクトは本年より、会員企業の進捗報告であるCommunication on Progress(CoP)の強化を図ることにしました。新CoPは、意思決定プロセスをサポートすると共に、企業行動の認知、透明性、比較可能性を後押しする統一された方法で、企業が進捗を測定できるようにします。また、価値を高め、10原則に関する報告を効率化するために、すべての会員が、新たなデジタル・プラットフォームを使って進捗状況を開示することを求められます。

現在、真の変革を実現するために、野心的な目標に信頼性とアカウンタビリティを結びつけることが、かつてないほど求められています。力を合わせれば、2023年そしてその先に直面するであろう課題の多くに、私たちは取り組めるはずです。この目の前に広がるチャンスに、私は大いに期待しています。会員の皆様におかれましては、今後も引き続き国連グローバル・コンパクトにご参加頂き、より持続可能な世界の実現に向けた前進に、ご協力下さいますよう、心よりお願い申し上げます。

2023年1月24日
国連グローバル・コンパクト事務局長 兼 CEO
サンダ・オジャンボ