グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

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グローバル潮流を学ぶ

気候変動対策への取り組み

気候変動は最も深刻な地球課題です。気候変動は異常気象を巻き起こし、水不足・大洪水・それらによる難民・食料安全保障など、人々の健康と安全保障を脅かします。更には地球の存続にも関わることから、投資家もESGの最重要課題としてとらえています。

既に欧州では2050年ネットゼロに向けて、2019年11月に欧州グリーンディール政策を立ち上げ「経済と環境の好循環」に向けて動き出すとともに、炭素税導入も積極的に進めています。日本も、2020年10月26日に菅総理が2050年ネットゼロを宣言しました。2020年12月にはそのための「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、動き出しています。企業の責任として対応する範囲は広まるばかりです。グローバル・コンパクト・ネットワークジャパンでは、専門家との対話やメンバー同士の交流を通して環境経営に関わる変化点の最新情報を得て自社の活動に活かそうと、環境経営分科会ESG分科会が活動しています。

イニシアチブ

日本でも環境省は、企業における脱炭素経営の取り組みを積極的に促進するため、気候変動に関するグローバルスタンダードな3つのイニシアチブ(SBTi,RE100,TCFD)について、企業参加を支援する事業を行っています。これらイニシアチブに取り組んでいる日本企業数は世界トップクラスです。また、世界主要企業の環境活動を評価するCDP(Carbon Disclosure Project)の調査では、一部のイニチアチブは加点対象となっています。今後脱炭素に取り組む企業のコミットメントとして、これらのイニシアチブの存在感は一層強まると考えられます。

SCIENCE BASED TARGETS

SCIENCE BASED TARGETS

パリ協定で掲げた「世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える」という目標を達成するために、企業が科学と整合した温室効果ガスの削減目標を設定し、公的に宣言・実行していく取り組みです。これは国連グローバル・コンパクトが、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)と共同で主催する国際的イニシアチブです。

RE100 CLIMATE GROUP

RE100 CLIMATE GROUP

世界で影響力のある企業が、事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする協働イニシアチブです。CDP(Carbon Disclosure Project)と連携して国際的な非営利団体Climate Groupが主導しながら、情報技術から自動車製造までフォーチュン・グローバル500 企業を含む多様な分野から企業が参加しています。2021年時点でその売上合計は6 兆6000 億米ドルを超えています。企業が結集することで、政策立案者および投資家に対してエネルギー移行を加速させるためのシグナルを送ることを意図しています。

Task Force on Climate-related Financial Disclosures

Task Force on Climate-related Financial Disclosures

気候変動が金融市場に重大な影響をもたらすとの認識が主要国の間で広がったため、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が設立されました。TCFDの最終報告書では、投資家などに投融資の対象企業の財務が気候変動から受ける影響の考慮を求め、企業には気候変動関連リスク、及び機会に関するリスクについての開示を推奨しています。

基盤となる国家間の枠組

気候変動枠組条約(UNFCCC)

気候変動枠組条約(UNFCCC)

大気中の温室効果ガスの濃度の安定化を目的とし、地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防止するための国際的な枠組みを定めた条約です。これを実行するために、締約国会議(COP)が毎年開催されています。締約国の具体的な義務はCOPで締結される条約で定めることになっており、1997年のCOP3で採択された京都議定書や、2015年のCOP21で採択されたパリ協定はその一つです。COPは気候変動対策の国際潮流を生み出し、企業の経営にも大きな影響を及ぼします。しかし、企業がその潮流に事業構造をアジャストするには時間も費用も膨大にかかるため、企業は国際潮流に常に敏感になる必要があり、さらにそれは新たなビジネスチャンスにもつながります。GCNJでは、環境経営分科会などで最新潮流への対応に取り組んでいます。

パリ協定

気候変動枠組条約(UNFCCC)

パリ協定は、2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組です。世界の平均気温上昇を産業革命前と較べて2℃より充分低く抑え、1.5℃に抑える努力をすることを目的としています。また、気温上昇による気候変動の影響に対応するための適応策の強化も初めて規定し、実施を含めた包括的な国際協定となっています。政府間パネル(IPCC)が2018年に提出した「1.5℃特別報告書」では、悪影響を対応可能な範囲に抑えるためには、気温上昇を1.5°Cに抑える必要があると発表しました。これを実現するためには、2050年までに地球規模でカーボンニュートラルを達成する必要があるため、国連は世界各国、企業、人々らに努力するように呼び掛けました。その結果、2019年頃から急激にグローバル全体で気候変動対策の取り組みが活発化してきました。それを受けて日本政府も2020年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表しました。企業や団体も、これに向けて走り出しています。

仙台防災枠組2015-2030

気候変動枠組条約(UNFCCC)

気候変動の影響により、世界中で自然災害が増加しており、また新型コロナウィルスなどの新たな感染症災害も増えています。事業活動における災害リスクは今後さらに増加するでしょう。企業が災害に対する事業継続力を強化することは、企業の自己防衛のためだけではなく、企業がビジネスを通じて担っている社会的責任を果たすために必要です。これら企業の防災・減災での責任、役割は、第3回国連防災世界会議で承認された世界の2030年までの防災に関する包括的な行動枠組「仙台防災枠組」の中に33か所で記載されており、また企業の実施を推進する役割はUN Global Compactであると記載されています。GCNJの防災・減災分科会には会員の危機管理担当者が集い、事業継続力の強化に協働で取り組んでいます。