グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

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ニュース 2022年

GCNJ Newsletter 2022年1月号

更新日:

年始号となる本号では、1/20に開催されるPRIとの共催セミナーなどイベントの開催ご案内や、開催報告、GCNJ代表理事、理事による年始のご挨拶をお届けします。どうぞ最後までご覧ください。

イベントのお知らせ

GCNJ/PRI共催 国際潮流セミナー(1月20日 14:30-16:30)

PRIとグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)は、サステナビリティ経営を取り巻く事業環境への理解を深め、投資サイド、企業サイドの両面からサステナビリティ経営を加速させていくことを目的として、毎年共同で、国際潮流セミナーを開催しております。2022年は、「SDGsを企業戦略に統合していくために ~高まるCFO・企業財務の役割~」をテーマに、対話を通じてあるべき姿を模索していきます。

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公開のお知らせ

「ジェンダー平等事例集 Diversity & Inclusion -日本企業24社の取り組み-」

GCNJは、ジェンダー平等推進のための国際的なフレームワーク「女性のためのエンパワーメント原則(WEPs)」のハンドブックの続編として、「ジェンダー平等事例集」を公開いたしました。
これは、GCNJ会員企業24社のジェンダー平等へ向けた取り組みをまとめたもので、各企業の戦略的な施策と、担当者の知恵が結集された実践的なガイドとなっています。
企業・団体のジェンダー平等の推進、強化ツールとして是非ご参考・ご活用頂ければ幸いです。

「ジェンダー平等事例集 Diversity & Inclusion -日本企業24社の取り組み-」はこちら

開催報告

エコプロ2021 主催者セミナーおよびブース出展(12月8日-10日)

東京ビックサイトにて2年ぶりのリアル開催となり、GCNJ もブース展示と主催者セミナーを実施しました。ブース展示では、GCNJ 組織拡大の一環としての国連 GC /GCNJ 紹介、加えて「CSR 調達」普及拡大を目的とした、ゲーム紹介や体験コーナーを設けました。各日4回ほど実施したカードゲーム体験会では、多くの方にご参加いただきました。また、主催者セミナーも“CSR 調達”そして、”ビジネスと人権”をテーマに実施しました。お立ち寄りくださった皆様、お忙しいところありがとうございました。

年始のご挨拶

有馬代表理事からのメッセージ

皆様、2022年の新年、明けましておめでとうございます。
昨今、中国の人権抑圧が問題になっていますが、日本企業では「人権方針と人権デューデリジェンス」が広がり始めています。欧州では「人権指導原則の法制化」が進んでいます。儒教では、欧州のように「法制と罰則で統御」する政治を「法治」と言い、一方「原則を定めた上で、リーダーの徳や人間性」によって治める「徳治」との二つの路線がありました。先日仲間でこの是非を議論したところ、様々な見方が出ました。現代の国や企業の経営においても「徳治」と「法治」をよく考える必要があると思った次第です。
・判断基準の異なる国や人はいつもあるので、法制化しないと共通の判断基準がなくなり、国家の人権外交の拠り所も無くなる。
・法で縛るだけで、徳や倫理がなければ、人間性の抑圧になり、法だけを守れば良い、抜け穴を探す、などの弊害が生まれる。また、法を定めても、リーダーに「徳」がなければ良い会社や社会にはならないだろう。
・企業でも、国でも、道理を外れれば存続できない。ガイドラインとは、道理を分かり易く示すものであり「徳治」はサステナビリティに繋がる。
・人は異質なものを排除する。他者を理解することが重要であり、人権の尊重はそこから生まれる。「徳」や「倫理」を身につけるには、幼少からの教育が重要であり、今こそ「寺子屋教育」が必要である。
・「法」があっても、必ずパニッシュできるわけではない。日本のように戦争に突っ込むことにもなる。「法治」と「徳治」の融合が重要である。
・今後は、1990年代の画一的なグローバル化ではなく、(1) ヨーロッパの「法治主義」、(2) 日本で大事にされてきた「徳治主義」、(3) 中ロの「専制主義」、の三つの主義がぶつかるのではないか。日本は「徳治」の質を更に高め、「徳治」を追求してゆくべきであろう。
グローバル化し、バリューチェーンの末端にまで企業責任が広がる現在、「法治」は不可欠だが、法には抜け道が生まれる。優れたリーダーとは、「法治」の番人であるとともに「徳治」の探求者でなければならないと思います。
今年も皆様と一緒に考え実践してゆきたいと思います。本年が、皆様にとって良い年となりますよう祈念いたします。

後藤業務執行理事からのメッセージ

今年はサステナビリティ、特に気候変動に関する財務情報開示元年になります。TCFDが最終報告書「提言」を公表したのが2017年6月なのでソフトローがディファクトスタンダードになるのに5年というのは異常なスピードといってよいでしょう。
2020年9月にいくつかの団体や組織がガイドライン統一の動きを起こしました。財務情報開示については昨年11月3日にIFRS財団(企業会計を管理している団体)により設立されたISSB (International Sustainability Standard Board )に一本化し、マルチステークホルダー向けにはISSBとも整合性は保ちつつGRI等が引き続き活動していくことのようだと推察しています。
TCFDは昨年10月に「指標、目標、移行計画」を公表しています。翻訳に関わっていますので春には日本語訳が活用できると思います。これが今後の指針になると考えます。当面は気候変動関連、中でもスコープ3の開示が強調されていますが、ポイントは移行計画です。TCFDは「狭義」では気候関連財務情報開示を求めていますが、よく読むと「時の経過と共に」ということで企業の発展戦略の開示を求めています。シエルのシナリオプランニング/分析について引用していることから考えて当然のことです。つまるところ「気候変動対応戦略」、「SDGs対応戦略」、「企業の発展戦略」を包含した「広義」のサステナビリティ戦略の開示を求めています。2021年6月に改定されたコーポレートガバナンス.・コードはこれを先取りしていますね。プライム市場の上場企業にとっては事実上は必須ですが、それ以外の企業にとってもいずれ必須になるものと思われます。
さて、問題は移行計画です。これこそ求められるから策定するものではなく企業の発展戦略ですから自分で考えるものです。このVUCA (Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity )の時代に、例えば2050年の複数社会像を考え、ありたい会社像を考えるのが40~60台の男性管理職のGroup thinking (集団思考、集団浅慮)に任せて良いでしょうか。
GCNJが2020年~2021年にかけて行った「未来の羅針盤プロジェクト」のプロセス全体を参考にされたらよいと思います。また、TCFDが策定した「シナリオ分析の手引き」も私が代表理事を務めるサステナビリティ日本フォーラムのホームページに翻訳が貼り付けてありますのでご活用ください。
変化の時代、腕に覚えのある人々にとっては腕の振るい時です。みんなでTransformingを起こしましょう。

野村業務執行理事からのメッセージ

明けましておめでとうございます。今年もまたオミクロン感染拡大のニュースに追われつつ新年を迎えました。コロナ禍を抜け出し、バブル崩壊から長く続いてきた日本経済の停滞期から脱し、待ったなしの気候危機や、急速な産業構造の変化、厳しさを増す企業の国際競争に向けて、早くギアを切り替えてアクセルを踏み込みたい、との思いをGCNJ会員の多くの皆さんが共有されているのではないでしょうか。
そうした経済や産業の課題から目を転じると、日本はいま少子高齢化社会の最先端にあり、今年は「団塊の世代」が後期高齢者になり始める年でもあります。日々のニュースには、「老老介護」とか、家族の面倒をみる「ヤングケアラー」、あるいは「8050問題」といった言葉が頻発します。「子どもの貧困」「子ども食堂」といった言葉もしばしば耳にいたします。
格差や子どもの貧困は遠い途上国の話ではなく、私たちの目の前で起こっている課題であり、高度成長をとげ世界有数の経済大国となった「日本の今」を示す一面なのです。
他方でいま企業のリモートワークが増え、働き方改革が進み、企業労働者も家族と過ごす時間の中で、改めて自分が住む地域社会を見回すゆとりが生まれています。
NPOや学生ら若者たち、あるいは地域の商店街や生産者、企業が手を携えて「子ども食堂」を運営し、収入減に苦しむ母親や若者たちに野菜や菓子、弁当を配布したりする活動があちこちで芽生えました。菅前首相が「公助、共助、自助」の中で「自助」を強調したのは記憶に新しいところですが、まさに自然発生的な「共助」活動です。
困窮する外国人労働者の家に食料が届けられ、過疎の村で暮らす高齢者たちの家に、野菜や食糧、飲み水や薬を届ける活動も生まれています。公助の薄さを嘆くより、コミュニティの人々や若者、企業や自治体の思いやりと活力で、新しい日本の可能性に希望を抱くことのできる、佳き新年であってほしいと願っております。