グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

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サーキュラーエコノミー分科会

本部会では、サーキュラーエコノミー(循環経済:CE)を考えるうえで、欧州等のイニシアティブを参考にしながらCEの考え方の整理や動向・事例の研究およびネットワーキングを行います。
商品やサービスにおけるサービサイジング、サブスクリプションモデル、シェアリング・エコノミー、製品の長寿命化・回収・修理・再利用など、リニア型からサーキュラー型へのビジネスモデルの検討や、調達における再生可能素材への変更など、技術的・生物学的な循環経済のあり方を検討します。
特に、個社では解決し得ない課題に対して、複数社による共創モデルの検討や、ビジネスエコシステムの形成など、循環経済のあるべき社会像や企業間連携についても検討していきます。
2022年度は「企業間連携の促進」をテーマに、有識者の講演、会員企業同士の交流会・勉強会の開催、CE事例の現場視察などに取組みました。2023年度もインプットの活動を継続しながら、更に、日本型のサーキュラーエコノミーのあり方について検討し、個別企業や業界を超えたビジネスパートナーシップづくりの推進を目指します。

<特別企画> サーキュラーエコノミー分科会幹事さんインタビュー
~企業間連携のきっかけの場づくりを目指して~

サーキュラーエコノミー分科会は2021年度に新設された、最も新しい分科会です。
今回はサーキュラーエコノミー分科会を立ち上げられた
アミタ株式会社様、そして共同幹事の皆さまに
分科会活動の内容や今後の展望についてお話を伺いました。

<インタビューにご協力いただいた方>
アミタ株式会社 渥美さん、アミタホールディングス株式会社 森田さん、
株式会社クラレ 井出さん、株式会社ADEKA 立石さん、
セガサミーホールディングス株式会社 平畑さん

左から)井出さん、渥美さん、平畑さん、(リモート参加)森田さん、立石さん

サーキュラーエコノミー分科会を立ち上げた理由や背景を教えてください

(渥美さん)GCNJの分科会活動には、もともと弊社アミタも参加していました。
ただ昨今SDGsやサステナビリティが叫ばれる中、個社でアクションできるものは限られているため、企業間連携の必要性を年々感じるようになりました。そこでGCNJで新たに分科会を立ち上げ、幹事企業になることでGCNJ会員同士の企業間提携を促したい、と考えたのがきっかけです。

サーキュラーエコノミー分科会の1年間の活動内容を教えてください

(渥美さん)初年度の2021年度は計6回の分科会を開催しました。年間の活動内容は、幹事同士でディスカッションを重ねて決定しています。2021年の前半はインプット中心の活動を行いました。サーキュラーエコノミーを実践する企業による事例紹介や、日本プラスチック工業連盟等の方をお招きし、サーキュラーエコノミー動向について講演いただきました。
2022年1月からはインプットだけでなく、ワーキンググループ内でのアウトプットも並行しています。
分科会を立ち上げた当初から企業間連携につながるようワーキンググループの構想がありましたが、分科会参加登録者のニーズにばらつきがあったので、インプットから始めることにしました。

(立石さん)まず初回の分科会開催前に参加登録者へのアンケートを実施しました。サーキュラーエコノミーの現状の課題についての回答に「サーキュラーエコノミーは何から手を付けたらいいか分からない」の選択肢を加えたところ、その選択者が約3割という結果になりました。このアンケートから幹事や参加登録者で様々な課題やニーズの違いが明らかになりました。【図1】

【図1】自社のCE取り組みの課題点(複数回答可, N=92)

どんな業種・部門の方が参加されていますか。また主な参加目的は何でしょうか。

(森田さん)参加登録者の約半数の方がアンケートに回答くださいました。業種は製造業が59%と最も多いです。【図2】
また部門別では事業系より開発・管理の方、特に、サステナビリティ部門の方が多い傾向でした。調達や購買の方も一定数はいますが2割くらいです。弊社で設立したサーキュラーエコノミーのコンソーシアムはB to C企業が多い一方、このGCNJサーキュラーエコノミー分科会参加登録者はB to Bの企業の方が多い印象です。
参加目的は①CE(サーキュラーエコノミー)の具体的取り組みを知りたい85% ②CEの概要を知りたい61% ③有識者とのネットワークを作りたい52% となっています。【図3】

(井出さん)今年の参加者は間接部門の方が多く、サーキュラーエコノミーを学びたいというニーズが高い印象です。
ただ、分科会立ち上げ当初は、具体的アクションつながるネットワークを作りたいという思いがあったので、ワーキンググループの活動で事例研究などをしながら、少しづつ企業間連携の実践の方向に舵を切って行けたらと思っています。

(立石さん) 2022年1月からはサーキュラーエコノミーにまつわるテーマで4グループに分かれ、有志メンバーでワーキンググループを組成しています。私はケミカルリサイクルのワーキンググループの先導役になっていますが、自社の課題の具体的解決策を見つけるためにワーキンググループに参加されている企業さんもいらっしゃり、それをグループ内で議論したりもするので実務に通じることが起き始めています。

【図2】参加者の業種 (N=92)

【図3】CE分科会の参加目的(複数回答可, N=92)

分科会の共同幹事を引き受けた理由、共同幹事のメリットなどがあれば教えてください

(平畑さん)2年前にサステナビリティ推進室に異動になり、サーキュラーエコノミーを勉強しなくてはと思い、アミタさんのウェブサイトをチェックしていました。その後、サーキュラーエコノミー分科会幹事にアミタさんがいらっしゃることが分かり、直接つながりたいと思ったので、初心者でしたが幹事に立候補させて頂きました。最近社内では、GCやGCNJをもっと活用すべきという声が出てきており、分科会幹事を引き受けたり、GCNJ事務局とも情報交換する機会が増えています。他企業さんとのつながりができたことで、悩みを相談できる仲間が増え、実際に解決の糸口が見え、課題解決に向けた施策について上司の理解を得ることもできました。

(井出さん)平畑さんと同じくサーキュラーエコノミーに関しては初心者ですが、他の業務で幹事の経験がありました。幹事をやることで幹事間の密なコミュニケーションや会社間連携もできる、また得られる情報も一般参加より充実しているという実感を持っていました。もし分科会に参加するなら幹事をやりたいと思っていたので「サーキュラーエコノミーはよく知りません、でも幹事の経験はあります」と自分自身を売り込みました。幹事のメリットですが、まずは幹事メンバーに恵まれたことです。打ち合わせは毎回楽しく、盛り上がります。またサーキュラーエコノミーの分野は「何かやらなきゃ」という強迫観念が強く、それで分科会に参加しましたが、ふたを開けてみるとまだ実践段階に至っていない事がわかりました。結果、腰を据えて活動できる、という安心感にもつながりました。

(立石さん)サーキュラーエコノミーというテーマへの興味があったこと、また新しい分科会なので幹事の主体性が出しやすいと思ったので幹事になりました。幹事のメリットは幹事のみなさんと出会えたことです。また、分科会の講師依頼をきっかけに、講師ともつながれることで自社の興味や悩みを深堀りすることもできました。

(森田さん)幹事になることで、個人として、また会社としてもメリットがあると思います。個人としては分科会の運営に携わったことで、活動方針からプログラム構成まで、社外の方と協働で合意形成を重ねられてきたことは大きな学びとなりました。
また会社としては、サーキュラーエコノミーの推進を事業としている立場から、サーキュラーエコノミーに対する他社の感度が知られたことが大きかったです。今後は分科会のワーキンググループに参加している方とビジネスにつながる交流が持てたら、と期待しています。

(渥美さん)当初は幹事業務は全部アミタ頼みになるのでは、という懸念もありましたが、皆さん、主体的・能動的に活動してくださっています。本当に幹事メンバーに恵まれました。

サーキュラーエコノミー分科会の今後の展望を教えてください

(平畑さん)私自身まだ初心者なので、共同幹事の皆さんの考えや目指すところに向かって追いかけている状況です。誰もが参加できる・初心者の方でも参加してみようかな、と思えるような分科会にしていきたいです。

(井出さん)最終的には実際のビジネスを作る活動になることを望んでいます。またビジネスにまで発展しなくても、分科会で学ぶことでビジネススキルを磨くトレーニングの場になったらいいなと思います。サーキュラーエコノミーは自社だけでは実現できないので、異業種の方々が参加している分科会は、ひとつのチャンスと思います。

(立石さん)私はアウトプットを目標にしている別の分科会にも参加していますが、アウトプットを作る過程でメンバーの交流が活発に、密になるのを経験しているので、サーキュラーエコノミー分科会としてもアウトプットを目指すことも考えていきたいです。

(森田さん)グローバル・コンパクトの魅力は、多種多様な業種が集まっていて、フラットに議論ができることだと思います。それをうまく活用し、ビジネスの種まきができたらと期待しています。私としては分科会でビジネスを起こす、というよりは、サーキュラーエコノミーを実践するためのルールづくりに貢献できたらと思っています。

仲良く”サーキュラーエコノミー(CE)ポーズ”を決める幹事の皆さん