グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

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グローバル潮流を学ぶ

グローバル潮流の全体像

SDGsの達成とその先にある持続可能な社会の構築に向けて、企業が人権・働きがい・ジェンダー平等推進・気候変動対策などに取り組む重要性が急激に高まってきています。そして、企業の財務状況だけではなく、課題や成果進捗の公表、さらに第三者機関による評価なども定着しつつあります。このような動きを推し進めている国際的な背景を、グローバル潮流の全体像で描きます。さらに日本の企業・団体が直面している主な重要テーマについても解説します。

国連のビジョンと行動計画

グローバル潮流の起源「国連宣言」

国連が掲げるビジョンは、持続可能な社会の構築です。そして持続可能な社会を目指すグローバル潮流の起源は、数々の国連宣言です。国連宣言は、国連の条約や決議等の基本であり、各国の法律や規定の拠りどころにもなっているため、国際社会における重要な基盤として位置付けられています。
ビジネス界が密接に関係する宣言には、世界人権宣言、労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言、人間環境宣言、環境と開発に関するリオデジャネイロ宣言などがあります。そして法治国家として機能させるための、腐敗防止に関連する国連条約もあります。
これらが国際社会の基盤となって、実践のための法律・規定・行動計画などが地域・国により整備されます。さらに、重要機関によって、原則も作られます。こうして、基盤の宣言が具現化され、実行のステージに移ります。

ビジョン達成への中期目標「SDGs」

SDGsウェディング・ケーキ・モデル
SDGsウェディング・ケーキ・モデル
出典:ストックホルム・レジリエンス・センター

持続可能な社会を目指す際、2030年をターゲットにした中期目標がSDGsです。国連は持続可能な世界を築くために、環境、人権、経済など、様々なテーマごとに取り組みを行ってきました。しかし、人類の活動が急拡大し、社会経済がグローバル化したことで、社会課題が複雑にリンクし、課題ごとまたセクターごとの対応では解決が困難となりました。そこで、環境、経済、社会の三側面を統合し、世界のあらゆるステークホルダーが連携・協力して、2030年までに達成する目標として、持続可能な開発目標SDGsが2015年に採択されました。17のゴールを2030年までに達成する大きな責任を、私たちビジネス界も背負っています。

サステナビリティを世界に普及浸透させる「イニシアチブ」

社会経済のグローバル化により、多くの社会課題は複雑に絡み合い、個社の努力だけでは解決できないものが急増しています。そのような問題を解決するためには、政府、企業、NGO、市民などのあらゆるステークホルダーが協働して取り組むことが必要です。
国連は、ステークホルダーの取組みを加速し拡大させるために、皆で協働して取り組む(コレクティブ・アクション)ためのプラットフォームとして、様々なイニシアチブを立ち上げています。企業や団体はイニシアチブに参加し、同じ目的を持つ仲間と協力しながら社会課題を解決することで、サステナビリティの実現に貢献することができます。
以下、テーマごとのイニシアチブを紹介しています。特に欧米企業はイニシアチブに積極的に参加しています。

*2021年11月現在

テーマ 主要イニシアチブ 参加企業数*
サステナビリティ経営 国連グローバル・コンパクト 18,800社・団体以上
ESG投資 責任投資原則(Principles for Responsible Investment, PRI) 3,900 機関以上
ジェンダー平等推進 女性のためのエンパワーメント原則(WEPs) 5,600社以上
気候変動対策 Science Based Target Initiative 1300社以上
気候変動対策 Business Ambition for 1.5℃ 900社以上
気候変動対策 RE100 500社以上
気候変動対策 TCFD 2700社以上
生物多様性保全 Science Based Targets for Nature 2160社以上
生物多様性保全 TNFD ルールを策定中
水保全 CEO Water Mandate 200社以上
腐敗防止 東京原則 日本企業4社

ステークホルダーのアクションプラン

国連は持続可能な社会の実現に向けて、中期目標としてSDGsを設定し、ビジネスセクターの協力を得るためのイニシアチブを立ち上げました。その後、企業・団体、NGO等による社会課題解決のための様々なイニシアチブが立ち上がり、情報開示の標準化が進み、評価システムが発展してきています。
下の表は企業・団体などのステークホルダーを取り巻くサステナビリティのグローバル潮流をまとめたものです。

国連が掲げた
ビジョン
持続可能な社会
ビジョン達成のための
アクションプラン
誰が
(組織名)
<企業・団体>
国連グローバル・コンパクト
<機関投資家>
PRI、PSI、PRB
どのように サステナビリティ経営 ESG投融資
何を
実践の開示

情報開示基準(GRI、IIRC、ISO26000など)

ESG評価機関(アラベスク/ブルームバーグ/CDP/FTSE Russel/MSCI/S&Pグローバル/Sustainalyticsなど)

サステナビリティ経営

企業・団体がサステナビリティ経営を実践するためには、大きくはコンプライアンス、組織運営、企業活動という3つの要素に取り組むことが求められます。コンプライアンスには、競争、環境、雇用、労働、製造、税務などの規制やルールの順守があり、組織運営には、雇用・労働面と環境面があり、企業活動には、本業や保有技術を通じた貢献と、寄付やボランティアなどによる貢献があります。

また、サステナビリティ経営の推進のため、課題テーマごとに多くのイニシアチブが発足しています。欧米企業は社会課題の解決に貢献するために、イニシアチブに積極的に参加しています。具体的イニシアチブは、各テーマのページをご参照ください。

SDGs経営に求められる3つの要素

SDGs経営に求められる3つの要素
出典:SDGs調査レポートVol.3

ESG投融資

2005年、コフィー・アナン国連事務総長は、投資家が世界をサステナブルにするビジネスに優先的に投資することの検討を呼びかけました。それを受けて、投資家のイニシアチブであるPRI(Principles for Responsible Investment、責任投資原則)が2006年4月にスタートしました。

PRIは、投資家に対して、企業の分析や評価を行う上で財務情報だけでなく、長期的な視点を持って経済(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの視点から考慮した投資行動をとることを求めました。そして企業に対しては、ESGと財務を統合した新しいビジネスモデルを創出するよう変革を迫っています。また、PRI推進の責任組織にUNEP-FIと共にUNGCが指定されたことは、UNGCが、ビジネス変革のプラットフォームとなること、ESG実践の上でGC10原則との統合を企図したものと考えられます。

健全なグローバル社会実現に向け、より多くの資金を流入させるために、2012年にはPSI(Principles for Sustainable Insurance)、2019年にはPRB(Principles for Responsible Banking、責任銀行原則)がスタートしました。現在は、ESG経営を推進するUNGCと、資金をESG経営へ流すためのPRI、PSI、PRBが車の両輪となって、世界中でESGの拡大を進めています。

分類 設立 英語名 日本語名 対象
事業経営​ 2000年 UN Global Compact 国連グローバル・コンパクト​ 企業、団体
金融 2006年​ PRI​ 責任投資原則 投資家
2012年 PSI​ 持続可能な保険原則 保険会社
2019年 PRB 責任銀行原則 銀行

サステナビリティ経営の実践を社会に示す「情報開示」

サステナビリティ経営とESG投融資というグローバルな動きを背景に、企業・団体は様々な対応を迫られています。
企業・団体はサステナビリティ経営を実践するだけではなく、その状況を社会に正確に示すことも求められているため、財務情報と非財務情報を含んだ統合報告書を発行するケースが増加しています。そして投資機関や評価機関は、統合報告書や機関独自の入手情報に基づき、企業・団体のサステナビリティ経営状況を評価します。
以下、サステナビリティ経営を実践するために、参考となる手引きと規範、取り組む際の留意事項、情報開示の国際標準についてまとめています。

サステナビリティ経営を実践するための基礎知識

参考となる手引きと規範 取り組む際の留意事項 情報開示の国際標準
■社会的責任の手引き
持続可能な発展を進めるためのガイドとして、社会的責任の国際規格であるISO26000が、国内では日本工業規格JIS Z 26000が作られた。
■企業の行動規範
ステークホルダーの立場を踏まえ、適正に運営・発展するための行動原則として、コーポレートガバナンス・コードが作られた。
■責任あるサプライチェーン管理
企業は直接の事業運営だけではなく、あらゆる層のサプライヤーが社会的責任を果たすことが求められている。
■重要な取り組み課題
企業は、ビジネスと人権、ジェンダー平等推進、気候変動対策、水保全、資源循環、腐敗防止などのテーマに取り組む必要がある。
■新たに求められた環境情報
企業は、財務に影響のある気候関連情報や自然関連財務情報を、年次財務報告で開示することが要求され始めた。
■統合報告書の国際標準
企業が社会的責任の活動状況を開示するための基準として、GRI スタンダードやIIRCの国際統合報告フレームワークなどが使用されている。