グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

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国連グローバル・コンパクト トップ メッセージ

国連事務次長補 兼 国連グローバル・コンパクトCEOサンダ・オジャンボよりメッセージが届きました。

国連グローバル・コンパクト会員の皆さま

2024年1月1日に日本を襲った能登半島地震により、大切なご家族を亡くされた方々、負傷された方々に、国連グローバル・コンパクトを代表し、心より哀悼の意を表します。
今回の震災で被災された方々、そして日本のグローバル・コンパクト会員の皆さま、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
私からの変わらぬサポートと連帯の意を伝えさせていただくとともに、どうか力強く迅速な回復を心よりお祈りしております。            (2024年1月9日書簡)

さて、気候変動、紛争、格差の拡大、社会経済的・地政学的変化など、今日の大きな課題が激化する一方で、社会的、技術的、政治的、経済的メガトレンドの合流は、かつてない複雑さ、不確実性、混乱を生み出しています。私たちは、これまで以上に大きく、より重大な決断を迫られ、同様に重大なチャンスに直面し、私たちは益々注意が必要になります。
行動したこと、あるいは行動しなかったことの結果が、かつてないほどに大きくなっています。 私は、ここ数年を通じて、民間セクターの強みを梃子にして、問題の解決を図り変革を推進しようとしているビジネスリーダーたちの声を幾度となく聞いてきました。
国連グローバル・コンパクトでは、グローバル、リージョナル、ローカルでの会合の開催を通じて、気候変動に対する取り組み、再生可能エネルギー、生活賃金など多様な課題について分野横断的な解決策やブレークスルーの機会を提供してきました。
イノベーションやソリューションは私たちの手の届くところにあり、直面している課題に対する持続可能な成果を確かなものにできる速度、規模、視野で行動する必要があります。
25年前、当時のアナン事務総長は、民間セクターに向けて企業のための国連グルーバル・コンパクトの設立とグローバルマーケットを人の顔が見えるものにすることを提唱しました。その後、国連グローバル・コンパクトの参加企業は 2万社を超えるまでに成長しました。私たちの目標は、特に民間セクターがこれまで以上に必要とされている今、引き続き堅実な成長と提供の軌道を継続させることです。

課題の具現化

2023年は、「2030アジェンダ持続可能な開発目標」の実現に向けた中間点にあたりました。持続可能な開発目標(SDGs)の進捗が後退していることは広く認識されています。企業、政府、市民社会、国連などのすべてのステークホルダーが、この現実を受け止め、より懸命かつ賢明に協力することの必要性が強調されました。
これを受けて、国連グローバル・コンパクトでは、「Forward Faster」イニシアチブを開始しました。このイニシアチブは、ジェンダー平等、気候変動に対する取り組み、生活賃金、金融と投資、ウォーター・レジリエンスという5項目の重要行動分野に焦点を当てています。これらはSDGsの17の目標すべてにわたって、民間セクターの行動を通じた進歩を加速させる重要な乗数となります。このイニシアチブは2030年に向けた7年間の取り組みであり、全員が参加すべき取り組みとなります。

重要課題への対処

SDGsの進捗は、国連グローバル・コンパクトの10原則、すなわち、人権、労働、環境、腐敗防止等と密接に関係しています。国連グローバル・コンパクトとその参加者である皆さまは、2023年の1年間を通じて、こうした議題に関する主要会合で重要課題に取り組み、原則と価値に基づいた事業活動が企業に現実的な財務的価値と持続可能性に関する価値をもたらすことを示しました。
具体的には、私たちは、世界人権宣言の75年を振り返った「第12回国連ビジネスと人権フォーラム」以降も、現状の人権デューデリジェンスのためのツールの提供に引き続き取り組んでまいります。そしてCOP28以降、再生可能エネルギー、適応ファイナンスに関する明確なシグナルが出されました。私たちは、民間セクターの投資ロードマップとして機能しなければならない気候変動行動計画の改訂を行う政策立案者と各企業との架け橋となることを目指しています。また、国連汚職防止条約の「第10回締約国会議」では初の民間セクターフォーラムを共同開催しましたが、その後、ビジネス・インテグリティの強化を決議した190か国の政府からの支援を原動力にして、引き続き腐敗の根絶に取り組むとともに、500社が署名した私たちの行動喚起に従って、民間セクターとの協業を進めていきます。

今後の見通し

署名企業の皆さまへ提供する「進捗状況についてのコミュニケーション」プラットフォームについては、2024年に各企業が主導し、学び、つながり、提唱し、報告するためのプラットフォームとして継続的に取り組んでいきます。国連グローバル・コンパクトは、10原則をどのように事業運営に適用するかについて実行可能なガイダンスを提供します。これは説明責任、実施、野心、動員を重視したものになり、参加者にCommunication on Progressプラットフォームを提供するための再活性化された取り組みも含まれています。

アブジャ、バンコク、コペンハーゲン、ドバイ、パナマシティに地域ハブを構築することにより、参加企業や現地ネットワークとこれまで以上に緊密な連携を図ります。今後、私たちは変革に必要な現地および地域の規模や範囲に合わせた行動を推進するために、より多くの企業、グループ間のつながりやパートナーシップを求めることができます。

今年9月の未来サミットは、重大な課題に対する協力を強化し、グローバル・ガバナンスのギャップに対処するための、一世代に一度の機会となると考えています。SDGsを含む既存のコミットメントを再確認し、多国間システムの再活性化に向けて動き出すことになるでしょう。私たちは、サミットに先立ち、またサミット期間中も、民間セクターを重要な対話に参加させる態勢を整えます。
未来を守り、短期主義に対処し、SDGsを加速させることは、すべて責任あるビジネスの利益につながっていきます。私たちがつかみ、前進させなければならない民間セクター主導の機会のために、2万社で共に力を合わせていきましょう。参加者の皆様には、私たちのグローバル、リージョナル、ローカルなプラットフォームやプログラムに、ぜひ積極的なご参加をお願いします。

国連グローバル・コンパクトの一員であること

国連グローバル・コンパクトに参加することは、グローバルなプラットフォームにおいて、SDGsへの主要な貢献者としての民間セクターの声を推進することを意味します。つまり、エネルギー、気候、食糧システム、教育、デジタル通信、雇用といった重要な変革に民間セクターを巻き込むことを意味しています。そして、地域の優先事項を前進させるための強力な地域プラットフォームを構築することを意味しています。
私たちが2023年に活動した場所をいくつか振り返ってみましょう。たとえば欧州で再生可能エネルギーを推進することであったり、アマゾンで企業が主導する生物多様性の保全を進めることであったり、またはスリランカで業種を超えて職場における性差別と闘い、女性のスキル向上に取り組んだり、ウクライナでは戦争中にもかかわらず中小企業の事業再構築を支援しました。ナイジェリアでは持続可能な輸送のために官民が連携し、米国では民間セクターを活用し、企業とそのグローバル・サプライチェーンがSDGsと10原則を事業に完全に統合するためのリソースとサポートを確保することができました。
つまり国連グローバル・コンパクトに参加することで、より強固な企業と、より強靭な経済を世界中にもたらすことができます。
これは、私たち全員が望む未来を垣間見るものです。2024年、これまで以上に勇敢に、そして野心的に私たちと共に前に進みましょう!

(2024年1月25日配信)

サンダ・オジャンボ
国連事務次長補 兼 国連グローバル・コンパクトCEO

メッセージ(原文)は「2024 Annual Letter to UN Global Compact Participants from Sanda Ojiambo」をご覧ください。