欧州委員会のCSDD指令案に関するサンダ・オジャンボの声明

米国、ニューヨーク発

国連事務次長補であり、世界最大のコーポレート・サステナビリティ・イニシアティブのCEOであるサンダ・オジャンボは、欧州委員会のコーポレート・サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令案の更なる進展を歓迎する。また、国連ならびにOECDによって採択された、サステナビリティ・デュー・ディリジェンスの主要な国際基準、とりわけ「国連ビジネスと人権に関する指導原則」と一層足並みを揃えるよう、呼びかける。

国連、ニューヨーク、2022年5月23日 ― 本日、欧州委員会のコーポレート・サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令案に対する意見提出期間が終了。この画期的な法律の制定過程において、重要な節目を迎える。

世界最大のサステナビリティ・イニシアティブである国連グローバル・コンパクトは、デュー・ディリジェンスを通じた人権と環境の保護推進に対する欧州委員会のコミットメントを歓迎する。国連グローバル・コンパクトは、多様なステークホルダーから寄せられた意見による貢献を期待する。また、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」、「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」（多国籍企業宣言）、ならびに「OECD多国籍企業行動指針」を含む、コーポレート・サステナビリティ・デュー・ディリジェンスに関する主要な国際基準との連携をより深めることで、指令案が更に強化されることを歓迎する。

2月23日に欧州委員会によって採択された指令案によると、その目的は、「特定、防止、緩和を通じ、企業の自社事業、子会社、バリュー・チェーンに関連する、人権と環境に対する潜在的な負の影響を取り除き、実際の影響を最小限に抑え、域内市場で活動する企業が持続可能な開発に貢献するよう確保する」ことである。更に、効果的なデュー・ディリジェンスを実行しなかった、あるいは防止・改善策を怠った企業は、制裁及び民事責任の対象となることを提案している。本日の終わりまでに欧州委員会が受理した意見は、集約された後に欧州議会及び理事会に提示され、法案審議に活用される。

現行の世界的なパンデミック、拡大する格差や気候危機を背景に、責任ある回復、持続可能な開発、公正な移行へのビジネスによる貢献は、全ての人々に対する尊敬、尊厳、平等を確保することと関連付けて行われなければならない。欧州委員会によるデュー・ディリジェンス指令案は、自主的と義務的、国内規定と「国連ビジネスと人権に関する指導原則」によって確立された国際規定双方の「措置の賢明な組み合わせ」を推進し、我々の10原則に沿ってビジネスの人権尊重を育む上で、歓迎すべき一歩である。

これに先立ち、2020年11月に、国連グローバル・コンパクトは、人権・環境デュー・ディリジェンス義務化の法整備に向けたあらゆる努力に対し、全面的な支持を表明した。我々の内部調査によると、加盟企業の90％以上が人権方針を定めている一方で、人権影響アセスメントを実施しているのは、このうちわずか18％に留まった。

企業は、国連グローバル・コンパクトならびにローカル・ネットワークのガイダンスを求めており、これに対し我々は、デュー・ディリジェンス義務化の波が勢いを増し続ける中、EU及びその他の地域においても企業が法制の導入に備え、適応できるよう支援する決意である。

ビジネスによる人権尊重の機運醸成を支援すべく、国連グローバル・コンパクトは、2022年9月より登録期間を設けた上で、「ビジネスと人権アクセラレーター・プログラム」を2023年に開始する。アクセラレーターは、企業が現行の人権デュー・ディリジェンスのプロセスを実践することで、人権尊重の為の自主的な措置を講じるのを助けることに焦点を当て、デュー・ディリジェンス義務化法制に向けた機運の高まりを補完する一つの手段となる。


国連グローバル・コンパクトについて

国連グローバル・コンパクトは、各地の企業が、その事業や戦略を、人権、労働、環境、腐敗防止の分野にわたる10原則に沿ったものとするよう、国連事務総長の特別イニシアティブとして呼びかけたもの。変革を可能にする責任ある企業とエコシステムを通じて、10原則を遵守し、SDGsに貢献することで、ビジネスによる世界的なコレクティブ・インパクトを加速させ、拡大することを目指す。国連グローバル・コンパクトは、160を超える国々で、12,000以上の企業及び3,000以上の非営利団体によって署名されており、69のローカル・ネットワークを持つ、世界最大のコーポレート・サステナビリティ・イニシアティブ。より良い世界の為に、ワン・グローバル・コンパクトでビジネスを繋ぐ。

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