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持続可能な開発目標(SDGs)

木を見て森を見る、森を見て木を見る、住友林業の事業精神とサステナビリティ経営

住友林業株式会社

住友林業株式会社

http://sfc.jp/information/

住友林業グループにおけるCSR活動とSDGsへの取り組み状況を、同社CSR推進室長飯塚優子様、同室グループマネージャー小林秋道様に伺った。

― 御社は創業が1691年、300年以上続く歴史ある長寿企業でまさにサステナブル企業そのものですが、CSRやSDGsを事業で実践するうえで、今どのような状況にありますか?

住友林業の事業の基盤には元々永続的に植林や伐採など木材生産を繰り返す「保続林業」というサステナブルな考え方があります。自然の恵みを受けて事業を行っているわけですから、環境への配慮や自然資本の保護は当然であり、従業員全員が大切なことだと認識しているのです。各事業本部がビジネスを通じて行っているCSR取り組みが実際多いといえます。一方でこれらのことを当然のことと思っているので、外部へのアピールはあまり上手ではないかもしれませんね。


現在、2020年までの達成目標を定めたCSR中期計画が折り返し点に来ています。社内外のステークホルダーなど約2,700名にアンケート調査を実施し、経営目線も加えながら2年ほどかけてマテリアリティを特定し、CSR中期計画としてまとめたのが2015年です。2016年にはその基本戦略にSDGsの目標を紐付けました。例えば「自社グループにおけるCO2排出削減」や「自社グループ以外におけるCO2排出削減」は主にSDGs目標7,11,12,13,15とつながります。温室効果ガスの科学と整合した削減目標設定「SBT(Science Based Targets)」の策定にもコミットしましたので、これに基づく新たな目標策定にも同時に取り組んでいきます。ちなみに、現段階では当社ではCSR中期計画と中期経営計画は別サイクルで策定されています。

CSR中期計画抜粋 「住友林業グループCSR中期計画・低炭素社会の部」

― 2つの中期計画サイクルが同期していないと、事業部門ではCSRに関わる活動予算の担保がされない危険性がありますね。

  • PDCAサイクル

    以前は、経営企画部からの予算編成通知とは別に、CSR推進室からCSRに関わる予算編成の依頼が部門に行く仕組みだったので、先行投資の必要な環境目標は事業本部が立てにくい状況にありました。各事業本部でもCSR予算とは別の担当者が損益計画を優先して予算編成するので環境目標達成に必要な設備投資などの予算計上がされないわけです。また、以前は、経営会議での予算審議に当たって、環境に関する項目の説明はCSR推進室がグループ全社分をまとめて行うというようなこともありました。事業の予算目標と環境目標を別立てで行っている限り実のある活動にならないので、少なくとも単年度の計画においては、同じ予算審議の中で回るよう変更を経営企画部に働きかけ、2年前、2016年から1つの通知で予算編成の依頼を行うようになりました。たとえば、事業本部が事業環境のSWOT分析をする中に環境面などの要素もいれて考えてもらい目標設定ができるように変えたのです。そうしたすべてをセットにして各事業部門が経営陣に報告することで責任を持たせるようにしました。細かいことですが、予算編成のためのワークシートやファイルを一本化することで、現場の立場に立った仕組みにできたのではないかと感じています。

― それはすばらしいですね。やろうと思っても通常企業ではなかなか実現しないことです。

ほかにも変わった点がありますよ。昨今ワークライフバランスが大きな課題となっていますが、住友林業は2009年に働きかた支援室を創設し、働きかた改革に取り組んできました。しかしながら建設業という業界特性のせいか、有給休暇取得率が低く、残業もなかなか減らない状況がずっと続いていました。新しい予算編成の仕組みは、人事部門も巻き込み業績評価とも連動されています。部門責任者の個人目標は、CSRに資する活動に1割をあてるという方針がありますが、今年度からは生産性改善目標が業績評価の2割に設定されるようになりました。つまり、部下の残業時間が減るなど生産性が向上すれば部長クラスはボーナスが上がるというような具合です。

社員その家族2016実績

― 御社の場合、これまで伺ったような変化は国内だけでのことですか?

実は、5年くらい前までは海外事業の売上はグループ全体の数パーセントでした。それが、その後海外での事業買収が増加し、特にアメリカの住宅建設会社数社を買収したことで住宅建築戸数も海外が日本に追いつきつつあり、海外事業の売上比率も2割を超えるまでになっています。このように海外とのつながりが深まるなかで、SDGsはグローバルに事業を行う上での共通言語になりやすいように感じます。海外の現地で事業に携わっている人から見れば、真摯にビジネスを行おうとすれば現地の人々と発展していくことは必須になってきます。日本における住友林業の活動を聞いてもピンとこないかもしれませんが、グローバルな課題に自社が貢献できると思えば意義がはっきりしてくる。このように、SDGsを通じて海外事業が身近に感じられるようになりました。それから、海外から新しい経営陣も加わってきているので、SDGsをキーワードに彼らとの対話も進みやすくなります。また、海外でパートナーを選ぶ際には、住友の事業精神に共感できるところと組むことにしています。ビジネスの幅がグローバルに広がっている昨今、それに対応した社内の仕組み作りが必要になってきていますね。

― SDGsや最近のESG動向が変化を生んでいると感じられますか?

SDGsの社内浸透の仕掛けづくりをこれから半年くらいかけてやっていこうと思いますが、GPIFの動きなどをうけて、経営陣や事業本部長の認識も大きく変わってきています。社長が発信するブログにESG投資やSDGsの話が出てきたりするようになりました。2017年4月に東京で開催された第6回RIアジア(Responsible Investor Asia)に役員が登壇したことも認識の変化につながったようです。
昨年7月にGPIFの発表した3つのESG指数全てに選定されたことは大変嬉しく思います。これまで具体的なCSR取り組みとステークホルダーに向けた情報開示に注力してきましたので、苦労が報われた気がします。

― 最後に今後の抱負をお聞かせください。

社内では事業と一体化したCSR取り組みをして下さいといつも言っています。そういう土壌を作るためにも、CSR中期計画の残り3年をまずはしっかり計画したことをやりきることに集中したいと思います。住友林業としてはCSR重要課題もその中期計画も持っているのですが、従業員の頭の中でCSRとSDGsがわかりやすく腑に落ちるようにはまだなっていません。次回のCSRレポートには、SDGsをもっと工夫した見せ方で表現するつもりです。どうぞ楽しみにしていてください。

(取材・文=GCNJ上野明子/泉沙織・IGES加藤瑞紀 取材日:2017/11/15)

取材こぼれ話
『木』(環境)にかける思いとそのために会社を変革しようとする行動力。飯塚さんと小林さんの、転調に満ちた非常にパワフルなお話に長寿企業の礎と底力を垣間見た気がします。