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持続可能な開発目標(SDGs)

価値創造モデル ―― サステナビリティ推進による企業理念の実践

オムロン株式会社

オムロン株式会社

http://www.omron.co.jp/

オムロン株式会社におけるSDGsの取り組み状況を同社サステナビリティ推進室長 平尾佳淑様、同企画部長 貝崎勝様に伺った。

― 御社は今年8月に「サステナビリティ目標」を設定し発表されました。事業活動全体を通じて、SDGs(Sustainable Development Goals)に貢献することを明言されていますが、ここに至るまでに背景を教えてください。

オムロンは2015年に企業理念を改定しました。私たちはこの企業理念をとても大切にしており、改定後は企業理念の理解浸透フェーズ、そして共鳴拡大フェーズへと浸透活動を進化させ、グローバルの社員の企業理念実践への理解を深めてきました。サステナビリティの取り組みは、企業理念実践をより加速させるために2年前にスタートしました。つまりオムロンでは、サステナビリティの推進とは企業理念の実践そのものと捉えています。今年4月から始まった新中期経営計画「VG2.0」は、SDGsでも目標達成年度として設定された2030年の‘持続可能な社会づくり’からバックキャストし、策定されました。オムロンが注力すべき課題を、①VG2.0の注力ドメインにおいて解決すべき社会的課題、②VG2.0の遂行を支え、ステークホルダーの期待に応えるための課題、という二つの視点から整理し、優先順位をつけました。サステナビリティ課題には具体的な取り組みとサステナビリティ目標を設定するに至りました。これらの目標の達成は、SDGsへの貢献に繋がると信じています。

企業理念

― 新中期経営計画「VG2.0」では4つの事業ドメインにSDGsの関連する目標を組み込んでいますね。

当社は事業ドメインごとに特性や収益性も異なるうえ、売上の6割、社員の7割が海外ですので、グローバル企業として事業をバランスよく組んだポートフォリオ・マネジメントを心掛けています。サステナビリティ目標に対する理解は部門ごとに差があります。SDGsはある意味、理解浸透のための追い風になっています。SDGs採択以前より、オムロンでは企業理念の中で、事業を通じての社会的課題解決を行って来ましたが、SDGsと照らし合わせることで、事業を通じて解決している課題がより具体的にそして明確になりました。社員は自分達の仕事とグローバルな社会的課題を結び付け、創出する社会的価値を自分事化しやすくなったと感じています。面白いことに海外の従業員のほうが自然に受容しやすいようです。

サステナビリティマネジメント

― 事業を通じ社会的課題解決企業であり続けるという明快な姿勢を示すうえで、トップはどのような役割を果たされているのでしょうか?

会長・社長ともにとても強くコミットしています。サステナビリティ目標に関しては、現在社内浸透に力を入れています。例えば社長から国内外の社員全員へのメッセージの中で、サステナビリティ目標達成の重要性を伝えています。また会長が海外の拠点に出向き、海外の経営幹部との「企業理念ミッショナリーダイアログ」の中で、企業理念を基軸にしたサステナビリティの推進の重要性を伝えています。サステナビリティと事業を繋げ、社会的価値を創出し続けることが、オムロンの持続的な企業価値向上を実現することを明確にしています。社員との対話から、企業理念のOur Missionにある「よりよい社会」という概念がSDGsと絡めると理解しやすいということも再確認できました。

― サステナビリティ評価の目標設定で重視していることは何ですか?

この度のサステナビリティ目標の設定においては、事業部門のトップと一緒に、目標をどこにおくのか(例えば、売上、シェア、GDP、健康寿命など)議論しました。目標設定の検討のプロセスでは、あえて外部専門家のアドバイスを受けず、経営陣の意思を入れこむことを重視しました。半年以上議論を重ね社会的価値につながる評価軸を模索したのですが、目標設定の考え方として、中期経営計画と整合していること、社会的価値の増大につながること、従業員にわかりやすいこと、グローバル共通であること、オムロンのユニークさが見えること、プロセスも評価できることなどを重視しました。
サステナビリティ目標は、事業を通じて生み出される社会的価値に対し、定性的であれ定量的であれ社内で計測可能なものを採用しました。つまり、事業の目標とサステナビリティ目標が表裏一体の関係にあるということです。具体的な例をあげると、ヘルスケア事業の売上目標に対しては、サステナビリティ目標として血圧計の販売台数が設定されています。該当商品の売上が達成することは、より多くの高血圧の患者さんに血圧を測るという価値を届けることになり、結果として脳・心血管疾患対策に寄与でき、それがSDGsのゴール3(すべての人に健康と福祉を)への貢献に繋がるという考えです。

― 今回役員報酬制度の改定新たにサステナビリティ評価を中長期業績連動報酬に導入したそうですね。情報開示も含め、どのような反応がありましたか?

これまでも情報開示には力を入れてきました。投資家からは中期計画とサステナビリティ目標の関連性がわかりやすいという評価もいただいています。今回新たに、中長期業績連動報酬にDow Jones Sustainability Indices(DJSI)に基づく評価を加えました。今年DJSI World Indexに初めて選定されたのは、とても嬉しいサプライズでした。というのも、今年8月に発表したサステナビリティ目標や具体的な取り組みは、今回のDJSIアンケートには含まれていないからです。今後Worldステータスを維持するためにも、課題となっている点をいかに改善していくか、担当部門と議論を続けます。ただ、我々はDJSIアンケートで良い点数を取ることを目的としているのではなく、サステナビリティ目標の達成と同時に事業目標の達成を評価されることが大切だと考えています。やはり財務あっての非財務がベースでしょう。
また、非財務情報の開示をより積極的に行ない、第三者から評価されることは、良い人材の採用にもつながっていくと考えます。

― 組織図を見るとサステナビリティ推進室が執行機関でなく取締役会の直下に置かれています。他社ではあまり見ないユニークな推進体制ですね。

この春にCSR部からサステナビリティ推進室に変更となりましたが、もともとこの部署は取締役室下にありました。新しい体制では、取締役会傘下にあることで、会社全体のサステナビリティの取り組みを推進しやすいという考えに基づいています。取締役会は、サステナビリティ方針に基づき設定したサステナビリティ課題に対する取り組みの監視・監督機能を発揮します。サステナビリティ推進室は経営トップの強いコミットメントを社内外に伝え、サステナビリティ目標達成に向けて会社全体で推進する役割を担っています。
また、執行機関の中にはサステナビリティ推進委員会が設置されており、サステナビリティ課題に対してのガバナンスの機能強化を目的にしています。委員会での議論内容は、執行会議でも報告・議論され、その後取締役会に報告します。委員会の委員長を平尾がつとめ、経営戦略、人事部、法務部など関係する本社機能部門のトップがメンバーとして参加しています。

― サプライチェーンに関する取り組みも去年から進展したようですが、具体的に教えてください。

非財務目標のひとつにものづくりの視点からサプライチェーン・マネジメントを入れています。具体的には「重要仕入れ先に対するサステナビリティセルフチェックの100%実施と85点以上達成」を2020年までに達成するという目標です。今後は仕入れ先だけでなく、派遣労働者や業務委託先もスコープに入れて人権・労働へ配慮することを考えていく予定です。

― 最後にSDGsの認識を一言で表すと?

  • 平尾

    社内外グローバルに語れる共通言語ですね。グローバルな課題を自分たちの仕事を通じて解決するのだという意識づけになるものとも言えるでしょう。

  • 貝崎

    企業理念のOur Mission「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」にある、まさに「よりよい社会」を具体的に表すものだと理解しています。

(取材・文=GCNJ上野明子・IGES小野田真二 取材日:2017/11/2)

取材こぼれ話
お話を伺う中で、平尾さんが盛んに「経営の意思入れをする」という表現をされていました。いかにもオムロンらしい言い方だなと、妙に納得してしまいました。